Mondの最大の特徴である“製品染め”。
製品染めとは、製品を縫い上げてから染色をする技法のこと。
一般的な革製のバッグは、色を染めた革を裁断し、縫製して完成させるという手順です。
しかし製品染めのバッグは、一度縫製を完成させてからステンレスドラムで色を染めています。
そのようにして完成したバッグは、新品でありながらもアンティーク調の風合いがあり、味のある独特な表情がとても魅力的です。
そんなMondのバッグが完成するまでの工程を、今回特別に取材させていただきました。
裁断、縫製、染色、オイル・バフ掛け…
職人方のこだわりと洗練された技術、バッグが完成するまでの背景をご覧ください。
創業30年以上の歴史を持つ、革製品の制作を専門とする工房。
すべてはここから始まります。
こちらでは、Montのバッグの革の仕入れから裁断、縫製までを手掛けられています。
こちらでは、裁断や縫製、サンプル生産まで全ての工程を、国内自社工場で一貫生産しています。
1ヶ所で全ての工程を手掛けている工場は多くはないとのこと。
若手から熟練まで、少数精鋭の職人チームで時代に沿ったものづくりを行っています。
Mondのバッグはまず染色のされていない“ヌメ革”を裁断するところから始まります。
革は半裁(背中で割った半分の革)で入ってきます。
こちらで使用されている革は全て、タンナーさんから直接仕入れているオリジナルのもの。
まずは金型を使用し、パーツごとに丁寧に裁断されます。
部位によって革の性質が異なる為、バッグのパーツによって部位を使い分けたり、取る向きを変えたりと工夫を凝らしています。
ちなみに、1頭分の革から、Mondのトートバッグでおおよそ3本取れるそうです。
パーツが全て揃ったら、工程を考えながら段取りを組み、慣れた手つきで縫い合わせていきます。
製品染めに向かう過程で一番大変なのが、洗った際にシルエットが変わるという点。
バッグのデザインによっては染めた後にしか気がつけない点も多い為、日々試行錯誤を重ね改良していきます。
こうしてMondのバッグの形が出来上がっていきます。
細部まで計算されて丁寧に組み立てられたバッグは、まさに日本のものづくりの象徴。
職人さんの温もりが伝わる仕上がりです。
(左:染色後 右:縫製仕上げ)
ここから次の工程、製品染めへと移っていきます。
続いて訪れたのが、日本でも有数の製品染めに特化した染色工場。
単色染めをはじめとする、グラデーション染めや抜染めなど、独自の技法を駆使した様々な製品染め加工を行っています。
こちらでは、染色からオイル仕上げ、そしてバフがけまでの工程を行い、Mondのバッグを完成させます。
海外でも製品染め工場はいくつかあるらしいのですが、仕上がりが全く違うとのこと。
海外との一番の違いは“水”(ペーハー)。
海外の水はペーハーが高く、革にダメージが強いそうです。
あくまでも製品に対して優しく優しく染める、そこに重きを置いています。
今回はブラックの染色現場に立ち合わせていただきました。
まず染色する上で、最も重要となる染料。
Mondのバッグもメーカーと綿密に打ち合わせ、試行錯誤して完成したこだわりの色合いです。
こちらで使用されている色は、門外不出のオリジナルレシピで作られたもの。
下地(ヌメ革)元々の色味によっても、色の配合は変わってきます。
約40℃の湯と薬品が入ったステンレスドラムの中に、染色するバッグを投入します。
バッグ同士が絡まって傷がつかないよう、ベルト部分は解いたり網に入れて回したりと、
製品に対して細心の注意を払っています。
ステンレスドラムの中に、先ほど作った染料を流し込みます。梅雨時など気候によっても微妙に薬品の配合を変えているそうです。
製品に負荷をかけ過ぎないよう、約1分ごとにステンレスドラムを回したり止めたりと、ゆっくりと時間をかけて染めていきます。
そして回すこと1時間、ここで別の薬品を投入。
薬品の効果で毛穴を開き、さらに革に色を染み込ませやすくします。
こうすることでMondらしい深みのある色合いに仕上がるのです。
この工程を計3時間繰り返します。
染色が完了するとしっかりと薬品と染料を洗い流し、別の場所で2週間ほどかけて乾燥させます。
この工程で1日約60~80本のバッグが染色されていきます。
24時間、風を当てながら2週間かけてしっかりと乾燥させたバッグは、最終仕上げに入ります。
何十種類もの原料をブレンドして作った、オリジナルのオイルを丁寧に手作業で浸透させていきます。
このオイルを与えることで、乾燥した革に保湿効果をもたらし、柔らかくしっとりとした手触りに仕上がります。
浸透率が高く、隅々にまでじっくりとオイルがいきわたり、見る見るうちに深みが増していきます。
そして一晩寝かせることで、さらに上品な光沢感のある表情になります。
いよいよ最終工程。
製品の表面を磨く“バフ掛け”。
このバフ掛けを行うことで革の表面に焦がし、ヴィンテージレザーのような味のある風合いが生まれます。
勢い良く回るバフ部分に力強く革を押し当てる作業は、大人の男性でもかなりの重労働。
こちらも1つずつ丁寧に、職人さんの手作業で深みのある表情を作り上げていきます。
こうしてMondのバッグは、職人さんによる手作業で生み出されているのです。
このように1つ1つのプロセスを経てMondのバッグは完成します。
バッグ1つ完成するにも何人もの職人さんの手が加わり、世界に2つとない一点ものへと仕上がっていくのです。
それはまさにMondが追求する“メイド・イン・ジャパン”と“製品染め”の魅力。
力強くも繊細なその佇まいは、現代の職人方の技術の結晶とも言えるでしょう。
時代とともに在り方が変わっていく革製品。
Mondのバッグは、これからも日本の職人方と共に進化し続けます。
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